*Novel's map*
◎・・・・連載
*・・・・成人向け(タイトル横)R18以上はPASS制
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・静寂
【銀×高】
宵闇の月が照らす部屋へ入ると、暗い空虚が自分を迎えた。
(そうか、今は誰も・・・。)
そう考えると少し寂しくなって銀時は、にわかに独り嗤った。
自分のそういうところが昔からなにも変わっていないことを、またこの部屋で悟ったからだ。
数年前から、この部屋はなにも変わってはいない。
もうずっと、独りだ。
自分と朝晩共にしていた部屋だった。
いつしか帰ってくるあの男のことを想って、枕を2つ取り出してはみたが、玄関の戸は閉められたままだ。
あの日から部屋の中で何か音が1つする度に自分の心が狭くなっていくのがわかった。
カタリと音がする度に慌てて振り向くと期待した以上に望みは儚く、日を増すごとに薄れていく。
あの男の姿をこの部屋に何度も思い描いて、その度に心の穴が開いていくような気がした。
共に過ごしていた頃は仕草1つも気に掛けなかったはずだというのに、
どうして今はこんなにも敏感なんだろう。
静寂とは、どうしてこんなに怖いものなんだろう。
高杉が居たこの部屋。
それはもうずっと、昔のことの様に思えた。
閉め切った部屋の障子を開け、久しぶりに空を仰ぐ。そこにはぽっかりと、丸い月が銀時を見下ろしていた。
周りの空気はとても澄んでいて、ひんやりと冷たくそれ故に一段と眩しく輝く月の力を感じる。
月の力はいつだって2人の姿をこの部屋に影を映していた、、、。
(・・・よくこうして2人で眺めたっけな)見上げて空に想う。
高杉もどこかで、見ているのだろうか、この空を。
そう思い出せば、それがまた銀時の奥の深い部分に小さく刺さる。
小さな傷でも重なればそれは大きな痕に。軋んで痛みが増していくのだ。
“もし高杉がこの同じ空を仰いでいるとしたら、”
・・・もしかしたら、という小さな切望だった。
ただ逢いたいだけだ。それだけでいい。
そんな淡い思いをこの空に何度も掛けてきたというのに、
願いなど叶うどころか月日だけは無駄に過ぎていった。
残ったものは根強く、焦りと不安だけだった。
願っても届かない思いだから、もう手遅れかもしれない。
そう思いかけては、・・・やっぱり捨てきれない思いは疼いた。
あと、もう1度だけ・・・この空に掛けてみたいと思う気持ちは捨てられなかった。
同じ空の下、同じ場所にいなくとも見ている光景は今の瞬間であってくれたら・・・、と考えるだけで
なんだかとても嬉しくなった。
一緒に居た頃とは違う、
些細な希望だけが、残された唯一の支えだった。
虫の声だけが永遠に響き、肌寒さが身体に伝わった頃、
そろそろ寝ようかと床に目を映した後、銀時は、唖然としてしまった。
それは、、、ずっと待ち望んだ
安らかに吐息を繰り返す、高杉の姿がそこに横たわっていたからだった。
あっ、と小さく声をあげて銀時は口を塞いだ。
ただ沈んだように、ただ息をしているだけのような顔をして、
あたかも前から此処にいたような男の寝顔だった。それはとても夜の海のように穏やかだった。
一瞬死んでいるのか、とさえ疑ってしまうほど、高杉はその目を瞑ったまま身動きすらしなかった。
俺は――、夢でも見ているのだろうか?
奇妙なことではあったが、不思議と怖さは感じなかった。
それほどに穏やかな表情の高杉を見るのは珍しくて、銀時はしばらく時を忘れた。
高杉が隣で眠ったあと、ずっと前にもこんな風に見ていたことを思い出して
傍で眠る高杉を見守りながら、自分もその傍に寄り添って目を閉じた。
自分の元に帰ってきたということだけで、もう充分だと思った。
失われるくらいならもうなにも望まない。
そう思えば自然とそれを認める銀時の心は、
溢れる水のごとく満たされていくように感じてそのまま安堵という夢に墜ちていった。
(そうか、今は誰も・・・。)
そう考えると少し寂しくなって銀時は、にわかに独り嗤った。
自分のそういうところが昔からなにも変わっていないことを、またこの部屋で悟ったからだ。
数年前から、この部屋はなにも変わってはいない。
もうずっと、独りだ。
自分と朝晩共にしていた部屋だった。
いつしか帰ってくるあの男のことを想って、枕を2つ取り出してはみたが、玄関の戸は閉められたままだ。
あの日から部屋の中で何か音が1つする度に自分の心が狭くなっていくのがわかった。
カタリと音がする度に慌てて振り向くと期待した以上に望みは儚く、日を増すごとに薄れていく。
あの男の姿をこの部屋に何度も思い描いて、その度に心の穴が開いていくような気がした。
共に過ごしていた頃は仕草1つも気に掛けなかったはずだというのに、
どうして今はこんなにも敏感なんだろう。
静寂とは、どうしてこんなに怖いものなんだろう。
高杉が居たこの部屋。
それはもうずっと、昔のことの様に思えた。
閉め切った部屋の障子を開け、久しぶりに空を仰ぐ。そこにはぽっかりと、丸い月が銀時を見下ろしていた。
周りの空気はとても澄んでいて、ひんやりと冷たくそれ故に一段と眩しく輝く月の力を感じる。
月の力はいつだって2人の姿をこの部屋に影を映していた、、、。
(・・・よくこうして2人で眺めたっけな)見上げて空に想う。
高杉もどこかで、見ているのだろうか、この空を。
そう思い出せば、それがまた銀時の奥の深い部分に小さく刺さる。
小さな傷でも重なればそれは大きな痕に。軋んで痛みが増していくのだ。
“もし高杉がこの同じ空を仰いでいるとしたら、”
・・・もしかしたら、という小さな切望だった。
ただ逢いたいだけだ。それだけでいい。
そんな淡い思いをこの空に何度も掛けてきたというのに、
願いなど叶うどころか月日だけは無駄に過ぎていった。
残ったものは根強く、焦りと不安だけだった。
願っても届かない思いだから、もう手遅れかもしれない。
そう思いかけては、・・・やっぱり捨てきれない思いは疼いた。
あと、もう1度だけ・・・この空に掛けてみたいと思う気持ちは捨てられなかった。
同じ空の下、同じ場所にいなくとも見ている光景は今の瞬間であってくれたら・・・、と考えるだけで
なんだかとても嬉しくなった。
一緒に居た頃とは違う、
些細な希望だけが、残された唯一の支えだった。
虫の声だけが永遠に響き、肌寒さが身体に伝わった頃、
そろそろ寝ようかと床に目を映した後、銀時は、唖然としてしまった。
それは、、、ずっと待ち望んだ
安らかに吐息を繰り返す、高杉の姿がそこに横たわっていたからだった。
あっ、と小さく声をあげて銀時は口を塞いだ。
ただ沈んだように、ただ息をしているだけのような顔をして、
あたかも前から此処にいたような男の寝顔だった。それはとても夜の海のように穏やかだった。
一瞬死んでいるのか、とさえ疑ってしまうほど、高杉はその目を瞑ったまま身動きすらしなかった。
俺は――、夢でも見ているのだろうか?
奇妙なことではあったが、不思議と怖さは感じなかった。
それほどに穏やかな表情の高杉を見るのは珍しくて、銀時はしばらく時を忘れた。
高杉が隣で眠ったあと、ずっと前にもこんな風に見ていたことを思い出して
傍で眠る高杉を見守りながら、自分もその傍に寄り添って目を閉じた。
自分の元に帰ってきたということだけで、もう充分だと思った。
失われるくらいならもうなにも望まない。
そう思えば自然とそれを認める銀時の心は、
溢れる水のごとく満たされていくように感じてそのまま安堵という夢に墜ちていった。
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