*Novel's map*

◎・・・・連載
*・・・・成人向け(タイトル横)R18以上はPASS制


happiness in my life #2

【高×土 ◎】
街の中、目に付くものは“人の目”に入ろうとして色鮮やかに飾る物たちばかりだ。

その中で心ある者達は無理に着飾って競い合っている。

あんまり好きな光景じゃないな、土方は思う。






こんな場所、なんで待ち合わせなんかしちまったんだ・・・。

悔やんだところでしょうがない。待合人は・・・あの、高杉なのだから。




こういったちょっと癖のある場所の方が身を悟られなくていいと思ったからだ。

前回、ステファンのきぐるみを被せた件で、高杉が普段から無謀な性格であるとは後存知の通り、

身を隠さない上、自分がそれを隠すようフォローすることもばかばかしく思えてきて、
それならばといっそのこと他人の事など興味を示さない場所の方がいいと思ったのだ。





この街に受けいれられるのは金で物を買う人間だけで、だからあの者達は我先にと競り合っているに違いない。

この街の目的はそれらで満たす者たちの集まりのような場所だ。

自分たちには関係ない。
だから自分たちに興味を示すことない場所を選んだ。



あれから久しぶりに時間が取れた。

ここ最近攘夷志士たちの活動も大人しく、潜伏期間中・・・ということらしい。
それはそれで探りを入れる必要もあるだろうが、どこにどう潜んでいるのか主体である桂の尻尾はなかなか掴めなかった。

それよか、もっとも危険とされる攘夷テロ組織。
鬼兵隊の高杉のことだ。



それがまさか自分と“お知り合い”というあってはならない関係が、現在進行中である。

文字通り掴めない、というのではなく(高杉を)掴んでいるけど(情報は)掴んでいない、という状態だ。

そこに真選組仲間に対するすまなさはもちろんあったが、どうにもこうにも自分の気持ちは捨てられなかった。
女々しさもあるかもしれないがお互いの存在は互いに認知した上で“大人な付き合い”ということになっている。




土方は待っている間に数本ものタバコをのんだ。


路上で立ちタバコなどもちろん白い目で見られてしまう行為だが、ここはまったく気にしなくていい。

他人の事などおかまいなしと皆足早に通り過ぎて土方の行為など誰も注視などしていなかった。





土方がここに来てようやくと高杉の姿が見え、あの風貌のまま久しぶりに見ても普段と変わらない姿になぜかほっとした。


土方は非番の時の格好で、鮮やかな色とは正反対の黒を着ている。

高杉は普段と同じ紫に黒い羽織を着ていた。今は昼間だが夜でもきっと紛れる事はできる色だ。







「久しいな、元気だったか?」

「ああ、顔見れなくて、寂しかったぜ」





意外にも高杉は前よりちょくちょくこういう事を言って驚かせる。

最初は何も考えていないような感じがして、いつもどこかに心を置いているような感じの奴だなと思っていたが、

意外にも可愛げのある返しが土方を照れさせた。




一方の高杉は、そうか・・・といってそっけない言葉で返す土方が、時に嬉しそうな表情をしていることに

気づいていたがそこは口を挟むというよりは黙って様子を窺うことの方が多かった。

土方が照れているときは大概、鼻の下をこする。

目線はやや下を向く。

顔を合わせることができなくなる、らしい。





少しからかうような笑みをみせてやると、不思議と困った顔になっていくのだ。



言葉で交わすことの代わりに、お前のことはわかっているのだと高杉は示した。

しかし、土方はなんのことなのか検討がつかないような顔だ。



高杉が1人クツクツと笑っているのをなんだよ?と聞いても、いや、なんでも。と言葉を濁すのはいつものことだった。

土方の中で(高杉のことだから、)という固定観念が出来上がっている。

この考えが定着するようになったのは付き合い始めてわりと初めの方からだ。






高杉のクツクツと笑う声は低いので騒音に消し流されていく。

久しぶりに会えた場所がここを選んでやはり良かったのか?と土方は思い悩んだ。


高杉の声自体低いから、声を聞きたいと思っても会話の最後の方は聞き取れない箇所がいくつもあった。

その度に聞き返すのは失礼だろうと思ったし気分を害されてはなんだか悪い気もする。

結局この場所を選んだのは自分で、高杉をフォローすることも放棄してしまった結果がこれだ。

人目につかない場所は他にもあったはずだ・・。


高杉の声を聞けないならもう少しマシな場所を選んでおくべきだったな・・・。





やや俯き加減の土方をみて、高杉はどうしたのか、と思った。

先程とは違う態度であるとわかったのは、顔からあのときのような綻びが失いかけていたからだ。

土方は目を向けず、ただ通りの店内に視線を映している。







(・・・?)


最初は何か買いたい物があるのか、と思っていたが、自分の口から出る言葉にはただそっけない答えしか返ってこない。

何度か話しているとその視線は物欲しさ故のものであるのではなく、厭わしさであると感じた。

店内の眩しい光を見つめつつ、鳴り響く騒音に時折しかめる様な表情をする。

それは、なにか土方の中で気にいらない事があったときにする顔だ。
攘夷だと謳うヅラを取り逃がした時に見せる顔だ。


それに対して高杉が実際口を挟むことはなかったが、“なにかがあった”事だけは言わなくても顔にすぐ影響することぐらい知っていた。






「・・・・そうか」

「・・え?」


高杉は突然にと先程土方がそっけなく返した言葉を使ってこちらに気を引かせる。

案の定、土方は予想もつかない顔で返してきた。







「俺がステファンの着ぐるみを着てくればよかったな」


「・・・・?!」



え、なんでそんなこと・・・。咄嗟に答えた土方の表情は驚いていた。






――――そうすれば、きっと・・・・。



高杉が最後なんと言ったのか、声は案の定かき消された。




「それか、」



「え」



「俺がもっと近くで話せば聞こえるか?」



「人目を気にせずに」





最後は、確かによく聞こえた。




「ありがとな」


自分の選んだことは間違ってなかったと、今このときを肯定する嬉しい言葉で高杉は返してくれたのだ。



今までも、これからも。





「・・・ああ。これからも、よろしくな」




そう言って、高杉に向き直り、今日初めての笑みで返した。





~ATOGAKI~

今回は少しシリアスに。
とても些細な事だけどそんな小さな事だから気にしてしまう土方さんを書きたかっただけなのです。
完璧に個人嗜好。

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